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ストレステスト(資産査定)への思惑

米規制当局が主要銀行に対して行ったストレステスト(資産査定)への思惑や自動車大手への懸念から一方的な動きには繋がらなかったが、ゴールデンウィーク中においても、為替市場では様々な材料によって大きな変動幅を記録した。
住宅関連の指標を始め、米国の経済指標は概ねマーケットの事前予想を上回り、新型インフルエンザの拡大という不安定要素があったものの、全般的には、楽観的なムードが広がっている印象が残る1週間となった。

 

一方欧州では欧州中央銀行が政策金利0.25%の利下げとともに、非伝統的措置となる緩和策を決定、英中銀は資産買い入れ規模の拡大を決定し、量的緩和策を強める政策を決定している。

 

楽観的な見方に要注意

さてオバマ新政権が発足した頃から、マーケットや国民からの信頼を維持するためにも、最初の100日が非常に重要と云われてきた。
100年に一度といわれるこの危機に対して、短期間で結果を出すことは非常に厳しい状況の中、迅速に政策を打ち出し、実行してきたことへの評価は未だ高い水準にあると思われる。

 

4月の後半は、英国の財政悪化懸念を材料に、英ポンドが大きく売られる場面があった。
国債格付けの引き下げ観測も一部で報道されるなど、財政赤字拡大に対してマーケットが如何に敏感であるかを認識させられる動きだったが、米国においても同様のリスクを抱えていることを忘れてはいけない。
特にオバマ大統領は、財政の健全化よりも、積極的な財政出動によって景気回復を図ることを優先してきたため、正しい選択を行ったという事実を見せるためにも、引き続き経済指標に対して注視しておく必要があるだろう。

 

今後の材料

欧米諸国のイベントが終了すると、次の材料として、5月20日に発表が予定されている日本の1-3月期GDPが挙げられる。
2月に発表された10-12月期GDPは、前期比年率マイナス12.7%という結果となり、91円台で推移していたドル円相場は4月に101 円台に乗せるなど、円安転換の大きな材料となったことがマーケット参加者の記憶に残っている。
すでに2009年度のGDP成長率見通しは下方修正されているが、実際に2期連続のマイナス成長となれば、為替市場における不美人投票では最も弱い通貨が日本の円という方向に偏っていくことが予想される。

 

IMM通貨先物のネットポジションは、3月中旬に円買いから円売りに傾き、4月中旬に向けて円売りが拡大する動きを見せていた。
現在はポジションの傾きは小幅縮小しているものの、日本の指標悪化が更なる円売りに繋がることになるため、今週はGDPに対する様々な憶測に振り回される動きに警戒しておきたい。

イベントリスク

ワシントンG7

先週24日にワシントンで行われたG7では「世界経済は今年後半には回復に向かう」との見通しを示した。
共同声明の骨子は下記の通り。

  • 景気悪化のペースは鈍化し、安定化の兆しがでてきている。
  • 経済活動は2009年中に回復を始めるが、下振れリスクも抱えている。
  • 雇用と成長の回復、危機の再発防止のため協調してあらゆる行動をとる。
  • 国際通貨基金(IMF)に必要な資金を提供するため20ヶ国・地域(G20)と協力する。
  • 投資や貿易に新たな障壁を設けない。
  • 為替相場の過度の変動は経済安定に悪影響を及ぼす。
  • 規制改革に関する金融サミットの合意を迅速に実施する。

前回のG7では、「2009年を通じて厳しい減速は続くと見込まれる」としていたが、それから比べると、全般的に明るい見通しを示した内容となった
現在も景気の先行きに対しては確実に読み取れる状況ではないだけに、不安定な状況の中で、何とか明るい材料を提供したいとの各国の思惑を一致させた内容となった。

 

米国の景気に対して楽観的な見方が広がる中、99円台で取引が始まったが、米財務省が行った大手金融機関へのストレステスト(資産査定)において、一部の銀行に対しては公的資金注入の必要があるとの観測から警戒感が一気に強まり、更に自動車大手クライスラー社が連邦破産法11条を申請する可能性が高まったと伝えられ、米ドルが弱含み、96円60銭台まで下落する動きを見せた。

 

材料

日本においては、ゴールデンウィーク前ということもあり、積極的な売買は手控えられる可能性が高いが、実際には大きなイベントが控えており、今後の方向性を見極める上で重要な1週間となる。

 

29日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)では、長期金利安定化に対しての新たな言及があるか、が注目されている。
国債買い切りの増額を予想する声も一部では出てきている。
また同日発表予定の1-3月期米GDP速報値は株価へ与える影響が大きいことから注目度は高い。
米国内においては、内需低迷から輸入が減少し、純輸出の割合が高くなり、GDPの上振れリスクが警戒されている。

 

30日の日銀金融政策決定会合では追加の資金供給策や国債買い増しへの対応などが焦点となっている。
さらに日銀の経済・物価展望では、今後もリスク回避通貨として円が買われることになるか当局の現況判断が注目される。

 

さらに30日は米自動車クライスラー社の再建計画提出期限となり、同社の結果によってはゼネラル・モーターズ社の先行きに対して様々な憶測が飛び交うことが予想されるため、全般的に為替相場へ与える影響は大きいと思われる。
週末の1日は、米ISM製造業景況感指数が予定されており、重要な先行指標のひとつであることから、景気対策の効果などを見極める上で注目度は高い。

 

翌週4日には米金融機関19行のストレステスト結果発表が控えていることもあり、米ドルの下値リスクを警戒しながら対応することになるが、一方で悪材料の織り込みは進んでいると指摘する声も出てきた。
米国企業の決算発表においては特段深刻なケースがでてこなかったため、イベント終了後は、「材料出尽くし」を材料に、リスク志向が高まってくることも想定しておきたい。

 

先週末24日には、英国の財政悪化を理由に格下げの可能性が報じられて英ポンドが売り込まれる場面もあった。
米国や日本においても、同様のリスクを抱えているため、そのような信用リスク懸念を払拭させるためにも、早く景気底打ちへの期待が広がるような結果が欲しいところではあるが、マーケットのセンチメントを変えるためにも、29日FOMCにおける声明や30日の日銀展望レポートの内容には注目しておきたい。

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